楽天・SBI SCHDという聖域 ― 2025年の苦闘と、2026年に待つ「高配当」の真実 ―

2025年、投資家たちが夢見た
「不労所得」の光と影

2025年(令和7年)。
新NISA制度の浸透とともに、日本の個人投資家たちの資金は「高配当」へと雪崩れ込んでいた。
その中心にあったのが、楽天SCHD(楽天・高配当株式・米国連続増配銘柄インデックス・ファンド)およびSBI・SCHD(SBI・V・米国高配当株式)だ。

米国ETF市場で圧倒的な人気を誇るSCHD。
かつてVYM(バンガード・米国高配当株ETF)をも凌駕したそのパフォーマンスは、資産形成の「最適解」として歓迎された。
しかし、その輝きの裏には、冷徹な数字の現実があった。

「誰にでも向いている商品ではない」
動画のコメント欄やコミュニティで囁かれたその警鐘は、果たして何を意味していたのか。
2025年の確定実績と、2026年の市場予測。
膨大なデータから導き出されるのは、甘い幻想を打ち砕く「高配当投資の真実」である。

第一章:資産拡大という「虚構」

まず断じておくべき事実がある。

資産を最大化したいなら、SCHDは選べきではない。

将来の教育費、住宅購入の頭金、あるいは「老後2,000万円問題」の解決。
資産の総額を増やすことを第一義とするならば、この商品はあまりに非効率だ。
SCHDが連動する「ダウ・ジョーンズUS配当100指数」。
その選定基準は、キャッシュフロー負債比率、ROE、配当利回り、反映して過去5年間の配当成長率。
ここには「株価の爆発的な成長」を評価する指標は、1ミリも含まれていない。

【株価成長率(分配金を除く直近10年)】
 楽天SCHD(連動指数):年平均 8.72%
 S&P500指数:年平均 12.00%

この約3.28%の差。
さらに直近5年のトータルリターンを見れば、S&P500が約91%であるのに対し、楽天SCHDは約81%。
約10%の乖離がある。
複利効果が働く長期投資において、この差は致命的だ。

保険商品に資産拡大を求めるのが愚策であるのと同様、資産の最大化を目指すのであれば、S&P500を選ぶのが合理的だ。
SCHDを選んだ時点で、あなたは「最大の利益」を放棄していることになる。

第二章:効率を殺す「高配当」の構造

高配当株投資は、その仕組み上、資産形成の効率を低下させる「三重の足かせ」を背負っている。

① 新NISA制度との相性問題
分配金が出るたびに再投資を行えば、その分だけ新NISAの投資枠(生涯1,800万円)を消費する。
無分配型なら枠を消費せずに複利が回るが、高配当型は自ら枠を食いつぶしていく。

② 課税による複利効果の毀損
特定口座で運用すれば、分配金を受け取るたびに約20%の税金が徴収される。
「課税の繰り延べ」という最強の武器を捨て、国に税金を先払いする行為だ。

③ 保有コストの差
楽天SCHDの信託報酬は年率0.192%。
対して、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は0.09372%。
約2倍のコスト差は、長期保有においてボディブローのように効いてくる。

楽天証券以外でNISAを開設している者が、わざわざ特定口座で楽天SCHDを買うなど論外だ。
それは、スーパーで割引シールが貼られていない商品を、わざわざ遠出して買いに行くような矛盾に他ならない。

第三章:配当の冷徹な現実 ― 1,000万円の無力さ

「配当金生活」。
その甘美な響きに酔う前に、電卓を叩く必要がある。
SCHDの配当利回りは、歴史的に3%から4%の範囲で推移している。

仮に1,000万円という大金を投資したとしよう。
得られる配当金は年間30万円〜40万円。
月換算すれば、約2万5,000円〜3万3,000円に過ぎない。
老後資金の不足分と言われる月額5万5,000円をカバーするには、倍額の2,000万円が必要となる。
100万〜200万円程度の投資で得られるのは、月数千円の小銭だ。
それで生活が変わることはない。

さらに、「増配率の罠」も忘れてはならない。
SCHDは年平均10%以上の増配率を誇るが、これは「1株あたりの配当」の話だ。
株価自体が下落すれば、受取総額は容赦なく減る。

【株価下落時のシミュレーション】
株価:100円 → 90円(10%下落)
配当利回り:3.5% → 3.6%(率としては微増)
実際の受取額:3.5円 → 3.24円(減少)

Dow Jones U.S. Dividend 100 Index Methodology によれば、配当は企業のキャッシュフローに基づく。
株価下落局面では、トータルの受取額が減るリスクを内包しているのだ。

第四章:2025年総括 ― SBI・SCHDの「90円」が示すもの

2025年、投資家たちが固唾を呑んで見守った「SBI・V・米国高配当株式(SBI・SCHD)」の通年実績が確定した。
第4回決算(12月)。提示された分配金は90円(1万口あたり)。
これを基準価格(約10,294円)に対する利回りで換算すると、現地税引前の実質的な配当力は約3.9%〜4.0%に達する。

2025年 SBI・SCHD 分配金実績 分配金
第1回(3月)0円
第2回(6月)62円
第3回(9月)85円
第4回(12月)90円
合計237円

しかし、S&P500が19%近い上昇を見せた2025年において、SCHDのリターンは+4%程度に留まった。理由は明確だ。AI相場の覇者「ブロードコム(AVGO)」を、SCHDは1株も持っていなかったからだ。

SCHDが連動する「ダウ・ジョーンズUS配当100指数」には「10年以上連続で配当を支払っていること」という鉄の掟がある。ブロードコムの配当開始は2010年末であり、期間だけ見れば「10年」は超えている。 しかし、同指数は毎年3月に厳しい再構成(リコンスティテューション)を行い、過去の合併履歴やキャッシュフローの継続性を極めて保守的に評価する。この「保守的な選別の壁」が、成長著しい半導体・AI銘柄の取り込みを遅らせ、結果として指数の足を引っ張る形となったのだ。

さらに、他の主力銘柄の苦戦も響いた。構成比率上位の「テキサス・インスツルメンツ(TXN)」は、アナログ半導体の在庫調整局面が長引き、「アッヴィ(ABBV)」は主力薬の特許切れによる収益減を市場に懸念された。また、SCHDのルールとして「REIT(不動産投資信託)」を排除している点は有名だが、実は「公益事業セクター(電気・ガス等)」も実質的に含まれにくい構造になっている。

第五章:2026年予測 ― 逆風から追い風へ

苦戦した2025年を経て、2026年はSCHDにとって「報われる年」になる可能性が高い。マクロ経済の風向きが変わるからだ。

① FRBによる利下げの本格化
年2〜3回の利下げ予測。MMFや短期債券で無リスク5%を享受していた資金が、再び利回り4%前後の優良高配当株へ還流する。

② 大規模減税による恩恵
米国内で堅実に納税している「地に足のついた成熟企業(エネルギー、食品、製造業)」は、法人減税の恩恵をダイレクトに受ける。

③ エネルギー需要の構造的変化
AIデータセンターの増設競争は、莫大な電力消費を伴う。それを支える天然ガス需要の急増は、シェブロン等のSCHD構成銘柄であるエネルギー大手に長期的な利益をもたらす。

終章:元本の勝負、あるいは賢者の選択

結局のところ、投資は「元本の勝負」だ。「下げ相場だから買い時」という言葉は、元本が大きい強者の論理に過ぎない。1,000万円なら200万円の利益だが、100万円なら20万円。残酷なまでに、元本の大きさがすべてを決める。

したがって、我々が取るべき手順は一つだ。

  1. 積立投資の徹底:S&P500やオルカンで、まず資産の「塊」を最速で作る。
  2. 目的の数値化:「何歳までに、毎月いくらの配当が必要か」を明確にする。
  3. 資産のスイッチング:十分な資産規模(2,000万円以上)に到達した段階で、SCHDへ切り替える。

目先の「小さな得(配当)」に惑わされず、将来の「大きな得(資産全体の最大化)」を目指すこと。そして適切なタイミングで高配当株を活用すること。それが、SCHDという優れた、しかし扱いづらい商品を使いこなすための、唯一にして最大の戦略である。



参考文献・資料

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